運転温度下におけるィンバータ駆動モータ固定子巻線端部の部分放電計測

摘要

回転機の固定子に用いられるコイルは，主に低電圧で用いられる乱巻きコイルと高電圧で用いられる型卷きコイルに分類される。大容量のモータに使われる型卷きコイルについて，鉄心のスロットを貫通するコイル端部では，高電位であるコイル導体と接地電位である鉄心とが近接して高電界を生じてしまう。高電界により部分放電が発生すると，放電電流による発熱や発生する活性気体の化学反応によって絶縁材料の劣化が早まるため，部分放電を防ぐ目的で図1に示す電界緩和システムという構造を有する。電界緩和システムは主絶緣のマイカに加えて，CAT (Conductive Armor Tape)とSGT/P (Stress Grading Tape/Paint)とレ、う2種類の材料から構成されており，低抵抗のCATは主絶縁層の表面を鉄心（接地電位）と同電位にすることでスロット内部での放電を抑制し，CATに一部重なり合うように施されるSGT/Pはその非線形抵抗特性によりコイル表面の電位変化を緩和して最大電界を小さくしている。