印加する矩形波電圧の周波数および立ち上がり時間が ポリアミドイミドの空間電荷蓄積特性へ与える影響の調査

摘要

近年、自動車産業では、環境問題の観点から、CO_2の削減や低燃費化が要求され、ィンバータ技術を用いた電気自動車の開発、普及が進められている。しかし、電気自動車のさらなる燃費向上のためには、使用されているモータのコ ンパクト化と高出力化が求められている。インパータ駆動 モータを用いた電気機器において、損失電力のうち大きな 割合を示すのは、モータに流れる大電流が発生させるジュ ール熱による損失であり、モータを高電圧駆動することにより、電流量を低減し、発熱を抑えることが期待できる。また、電流量を低減することにより、卷線の径を低減する ことができ、モータのサイズをコンパクト化することが期 待できる。したがって、モータに印加される駆動電圧の高 電圧化が検討されている。し力、し、モータ卷線に高電圧の 矩形波を印加した場合、モータ卷線と電源部のインピーダンスの不整合により、印加電圧の2倍にも達するインバー タサージ電圧が発生する。サージ電圧がモータ巻線に印加されると、モータ巻線間やモータ巻線と固定子間において、部分放電が発生する場合がある。部分放電が発生すると、モータ巻線被覆材料が浸食され、その後、最終的には被覆 材料の絶緣破壊が生じ、モータが使用不能になってしまう ため、部分放電に関する研究報告が数多く行われている。特に、部分放電開始電圧（PDIV： Partial Discharge Inception Voltage）に関する研究においては、PDIVが低下する原因とし て、モータ巻線周辺の雰囲気中の温度や湿度、またはモータ巻線被覆材料中の空間電荷蓄積を挙げる報告もある。し かしながら、これらの要因のうち、モータ卷線被覆材料中の空間電荷蓄積特性に関する研究報告は少ない。特に、実際に供給される矩形波電圧印加による空間電荷蓄積特性は、ほとhど調查されていない。