レーザーアブレーションダイナミクスの遠赤外波長領域計測

摘要

フェムト秒レーザーパルスにより1022 cm~(-3)を超える超高密な電子励起がなされると、耐えきれなく なった格子系は原子·イオン·クラスターへと破断する。このような現象はレーザーアブレーションと呼ばれ、 高温(数千K) ?高圧(＞ 10 GPa)の極限的状態において、光の場からエネルギーを受ける電子?プラズマ系とそれらに より駆動される格子-原子?イオン系が非平衡?多成分?多階層系として相互作用する、挑戦的かつ未解明な研究 課題である。レーザーアブレーションによって物質が破壊に至るメカニズムは、TOF- MSによる温度分布の推定や フェムト秒イメージングや時間分解電子線·X線分光による融解、噴出過程の撮像を通して議論されてきたが、サ ブピコ秒のタイムスケールで電子系から格子系へ如何にエネルギーが散逸し、如何に結合の切断に至るのかという ことに関する実験的な知見は未だ得られていない。本研究ではサブピコ秒からピコ秒の時間スケールにおけるアブ レーション過程を直接測定することを目的として、遠赤外波長領域における時間分解高感度電気光学サンプリング 測定を行なった。