動力飛行用パルスプラズマスラスタ搭載超小型人工衛星プロイテレス2 号機の開発状況

摘要

これまでの人工衛星による宇宙開発は大型の人工衛星を用いた国家主体のものが中心であった．しかし，開発には膨大な時間と開発費が必要になり打ち上げ失敗時の損失が大きいことや開発期間が長期間に及ぶため最新の機器が搭載できないという問題点がある．そのため，近年では大型人工衛星に比べ開発期間が短く，開発費が安いといった特徴がある小型人工衛星や超小型人工衛星が教育目的に大学や中小・ベンチャー企業において注目されている．しかし，小型人工衛星や超小型人工衛星はそれぞれ単体での打ち上げ機会を確保するのは困難であり，他の人工衛星と同時に相乗りで打ち上げられることがほとhどである．そのため小型人工衛星・超小型人工衛星は大型人工衛星のピギーバック(相乗り)衛星とも呼ばれる．ピギーバック衛星は軌道や軌道高度が主衛星である大型人工衛星に制限されてしまうという問題点がある．そのため，電気推進機を人工衛星に搭載し，衛星の進行方向と同じ向きに電気推進機を噴射させることで周回速度を増加させ軌道高度を上昇させる．人工衛星の軌道高度の変更が可能になることで小型人工衛星のミッションの幅が広がり更なる宇宙開発が行われることが期待される．また，軌道高度の変更を高度の上昇ではなく，下降に用いることで現在問題になっているデブリ問題の解決にもつながることが期待される．