小型衛星搭載の合成開口レーダその２：搭載機器とデータ伝送

摘要

地震や台風，火山噴火など自然災害が発生した場合，雲や降雨，噴煙など影響で光では大きな減衰によって観測が困難である場合がある．そこで雲などで大きな減衰を受けずに透過できるマイクロ波を利用した衛星搭載の合成開口レーダ（synthetic aperture radar, SAR）は，非常に有用である．SAR 衛星ではマイクロ波を地上に照射し，衛星の軌道運動とそれによる反射波のドップラー周波数を利用して，数km 以上の等価的な開口径を実現して数m の地上分解能が得られる有力な地球観測手段である1．しかし，衛星搭載SAR センサでは，500km 以上の高度からマイクロ波を放射して地表からの微弱な受信信号を受信するために，kW 級の送信RF 電力と，数m 以上のアンテナが必要となる．このため，従来からSAR センサによる地球観測ミッションは，1-3m 程度の分解能性能えるために1t以上の重量の大型衛星を用いてきた．