フェムト秒レーザー衝撃力により誘起される筋芽細胞の力学応答伝搬

摘要

本研究により、動物細胞であるC_2C_12に機械的な外力を加えると外部からCa~(2+)を取り込むような応答を示すことが明らかになった。さらに外力が大きくなるにつれてCa~(2+)の取り込み量と速度が増加するような傾向が観測された。このような応答はレーザーを直接照射して細胞膜に損傷を与えた場合とは全く異なるものであり、フェムト秒レーザー誘起衝撃力を用いた手法が細胞の力学応答を理解する上で有用であると考えている。また、衝撃力の作用から一定の遅延時間を経て表れる細胞応答には、外力に応答する細胞間のシグナル伝達作用が働いている可能性がある。 今後の展望として、まずフェムト秒レーザー誘起衝撃力が機械刺激受容チャネル、もしくは細胞膜に具体的にどのような作用を及ぼしているのかを明らかにすることでCa~(2+)の取り込みのメカニズムの解明を目指す。また、細胞間のシグナル伝達を調べるために、図11に示すような細胞パターニング技術によりレーザーの集光点に対する細胞の空間配置を任意に設定し、衝撃力の大きさと細胞間距離に依存したCa~(2+)応答の測定を検討する。