超広帯域マルチレーダによる位置速度情報の統合による歩行人体の運動推定

摘要

従来の超広帯域レーダによる人体を対象とした研究の多くは，システムの複雑度やコストなどの理由によリ，単一のレーダのみによる技術が主流であった.本研究では，複数のモノスタティックレーダを用いて，歩行中の人体を異なる角度から同時に測定する.超広帯域信号を用いることで受信データの強度情報から目標とレーダ間の距離が得られ，複数レーダ間を十分広くすることで三角測量の原理によって人体の位置を決定できる.一方で，人体からの反射信号から位相情報を取り出すことにより,人体の運動により生じるドッブラー偏移が観測でき，複数のレーダの信号を統合することで速度の大きさと向きを高精度に測定することができる.本稿ではこれらの位置と速度の情報を統合することで高精度な人体の運動を推定する手法を提案する.提案手法の特性は様々な軌道に沿った歩行運動を仮定した数値シミュレーション及び実際の測定データにより詳細に検討する.