コスモトーレを利用した微小重力実験と宇宙火災安全研究

摘要

微小重力科学研究において落下塔の役割は極めて大きい。微小重力科学といえば国際宇宙ステーション（ISS）の利用がすぐに思い起こされるが、ISS による実験機会は極めて限られおり、実験機会が得られたとしてもその実施には膨大な予算と時間を要する。このため、高い成功率と相当の成果が期待できる質の高い実験であることが要求される。しかし、一方で質の高い成果が期待できる実験は何の準備もなしに生み出されることはなく、通常は多くの失敗と繰り返し実験の蓄積の結果として得られる。通常の研究であれば、この予備的な繰り返し実験を行うことに制約はなく研究者の努力や忍耐があれば実施できる。ところが微小重力科学においては実験そのものに微小重力環境が必要である一方で、その予備的試験を軌道上実験のような場で実施するわけにはいかない。そこで低コストで繰り返しの実験を行える環境が必要となるが、この役割の一翼を北海道にあるコスモトーレが担っている。図１は、微小重力実験手段のカスケード利用の概念を示している。