大型LTA への接着剤応用の可能性

摘要

LTA 技術は、２０世紀初頭の飛行船による航空宇輸送が挫折して以来、ほぼ１世紀の間、航空輸送技術としては停滞がつづいている。一方、科学研究用の大気球は抗張力被膜の進歩に支えられて、着々と到達高度の記録を塗り替えてきた。しかし、近年、省エネルギーへ関心が高まるにつれ、動力不要の上昇手段としての浮力の優位性が注目されるようになった。大型の飛行船としては、ハイブリッド型が登場してきたが、それは、かつての発展の歴史における、地上風との格闘を経て、むしろ空気力を積極的に活用し、航空機としての進展が試みられているといえる。空気力を考慮した機体形状は必然的に、在来型に比べ、制作も、複雑となることが予想される。また、LTA は本来的に大型であることが、製造条件や工程に大きな制約をもたらす。そのため、嘗て溶接技術の進歩が造船技術を画期的に発展させたように、接着剤の利用が、これから大型LTA の進歩に一役果たすのではないかというのが，本論文の趣旨である。