フェライト磁石における複数距離観察によるMFM像の精密化及びその磁区模様予測

摘要

本研究では，大気中でMFM像観察を行う比較的安価な装置を用いて，希土類磁石に比べ磁気力が弱いためにぼやけたMFM像になりやすいフェライト磁石において，コンピュータによる数値処理や画像処理を用いて，より精密なMFM像を推定し，磁気力分布から磁区模様の取得を試みた。結果として，複数距雜観察で得られた複数枚のMFM像から試料表面上の磁気力分布を求めることで，精密なMFM像が得られた。その結果を用い，画像処理によって二次微分や細線化，端点接続を行うことで磁区模様を得ることが出来た。しかし，この手法で得られた磁区模様は3つ以上の磁区が接しているとされる箇所が複数存在しており，まだ完ぺきとは言えず，さらなる検討が必要である。 今後，真空中で観察可能な装置を用いて複数距離観察を行い，さらに精密な試料上の磁気力分布を推定し，その結果を用いてより正確な磁区模様化手法を確立したいと考えている。