入射?浸透電力密度と温度上昇の関係のビーム方向依存性

摘要

携帯電話をはじめとした無線通信機器が-般生活の至るところで使用されており，近年では，第5世代移動通信方 式（5G)の実用化に向けた動向に注目が集まっている.現 在，5Gの利用のために割り当てられる周波数帯に関しては 議論がなされているが，26 GHz以上となることが想定され るその-方で，電波の生体に与えるさまざまな影響につ いて関心が高まっており，それらから人体を防護すること を目的とした国際基準やガイドラインが定められている. ICNIRPガイドライン②やIEEE規格(3)では，無線通信端末 からの局所的な電波ばく露による人体の過度な温度上昇を 防ぐための評価指標として，それぞれ10GHz, 3GHzまで の周波数帯では，人体に吸収された単位質量あたりの電力 量である比吸収率（Specific Absorption Rate ： SAR) [W/kg] を10gの組織で平均化した値が用いられている.また，そ れ以降の周波数帯では，自由空間における単位面積あたり の電力である入射電力密度[W/m~2]を用いており，その平均 化面積はICNIRPガイドラインとIEEE規格において異な る.さらに，入射電力密度を評価指標として用いることに関する科学的根拠は十分でなく，過度な温度上昇から人体 を防護するためには，体温上昇と相関のある評価指標を定 義することが望ましい.