潜在機能推論における仮想現実の利用

摘要

製品には，設計者によって予め意図された機能に加えて，潜在的な機能が内在していることがある．例えば，紙コップは文房具入れとしても使用することができることから，紙コップには「飲み物を飲む」という意図された機能に加えて「文房具をまとめる」という機能が潜在的に内在していると考える．このような機能は，一般設計学において潜在機能として議論されている(1)．そこでは，潜在機能は「ある製品が，当初それが使用されると想定されていた状況（場）とは異なる状況（場）において発現する新たな機能」と定義されている(1)．先に述べた例では，紙コップの「飲み物を飲む」という機能は「食卓」という場で発現し，「文房具をまとめる」という機能は「勉強部屋」という場で発現すると考えることができる．