建築設備の耐震施工法に関する研究　その1SUSパイプにより補強された機器吊ボルトの耐震性能試験

摘要

近年、ビル用マルチエアコンの普及や機械室面積の削減(レンタブル比上昇)の要求により、天井裏に機器を吊り支持で設置するケースが増加しており、地震時に落下する危険性も高まっている。 建築設備耐震設計·施工指針2015年版(以下、センタ一指針)では、天井設置機器を天井スラブに直接支持するか、鋼製吊架台を用いる方法が示されており、吊りボルトを用いた支持方法は推奨されていない。ただし、重量1kN以下の軽量な機器の耐震支持については、軽量であることを考慮し、「設備機器の製造者の指定する方法で確実に行えばよいものとする。」とされている。 SUSパイプを用いて吊りポルトを補強した場合の耐震性能について実験を行った。静的加力試験の結果、W3/4の吊りボルトを13mm程度のSUSパイプで補強しても、パイプ端部が圧縮により損傷·変形して隙間が生じW1/2の吊りボルトより剛性が小さくなることがわかった。16mmのSUSパイプと端部補強用金物を併用した場合は、W1/2の吊りボルトよりも剛性が高くなった。