ダンプネスによる子供の健康影響に関する二時点の全国調査

摘要

住宅のダンプネス(湿度が高い状態)と喘息やアレルギー症状などの健康影響との因果関係に着目した先行研究は多く，Fiskらは高湿度環境が喘息等のアレルギー疾患の発症·悪化を，少なくとも30～50％増加させるとしている。WHO(世界保健機関)は2009年にダンプネスとカビに関する室内環境ガイドラインをまとめ，ダンプネスに関連する知見を整理し，健康影響には不明な点があるものの無視できないとしている。また，米国医学会(IOM)は，ダンプネスに誘発される環境汚染の暴露が，上気道症状やせき，喘鳴，喘息の増悪と関連があると結論づけている。しかしながら，真菌などの具体的な暴露要因との因果関係を明示する知見は極端に少なく，現段階では，ダンプネスという包括的に表現された指標との関連性が確認できるのみである。筆者らは，ダンプネスから健康に連鎖する因果構造モデルが構築されれば，相互の関連の強さに基づいて防除のための方策を優先的に選択できると期待している。