メメティックアルゴリズムによる消費借入計画問題の最適化とヒトによる経済実験の解との比較

摘要

ミクロ経済学における効用関数の最大化問題は，比較的容易に解析解(closed-form solution)を導出することが可能だと知られており，最も簡単な動学的最適化問題であるフィッシャーの二期間消費モデルによる家計の最適化問題も，予算制約のある消費一項目と借入一手段を決定変数とした効用関数の最大化問題として表され解析解が得られる。しかしながら，実際の家計が直面する消費項目と借入手段は多樣化,複雑化しており，消費者が直面する現実の問題に近づくにつれ解析解を得られなくなると同時に，問題自体が難しくなる。このような課題に対して，Izawa and Mardylaは，複数の消費項目と借入手段を組み合わせた実際の家計の最適化問題を消費借入計画問題としてモデル化した。開発した経済実験システムの下で多数の被験者による大規模な経済実験を行い，実際の家計が直面する消費借入計画問題に対して生身の人間が選択する行動を報告している。