オペレータ理論に基づく熱交換プロセス実験装置のモデル化および非線形制御

摘要

石油や化学,鉄鋼といったプロセス産業では原料に化学的な変化を与えることで製品を生産する。ここでいう化学的な変化とは主に流量や温度,圧力のことであり,これらの制御はプロセス制御と呼ばれる。大きなエネルギーを取リ扱うプロセス制御においては何よリも安全性が重視される。また,生産活動に関わるシステムであることから利益の追求も必要であり,無駄のない最適な制御が求められる。多くの場合,プロセス系の数学モデルは非線形性を有している。一方で制御系の多くは線形システムを対象としたものである。システムが非線形性を有する場合は線形近似によって制御側を適用できるが,近似を行うことによって制御性能に影響を及ぼす。したがって,プロセス系には非線形の制御則の適用が望ましい。非線形システムに適用できる非線形制御則の一つにオペレータ理論がある。オペレータ理論は,システムの入出力関係を入力信号の空間から出力信号の空間への写像として表す。写像として表すことで,周波数領域を用いることなく時間領域で制御が可能となる。これまで,オペレータ理論を用いた非線形制御系の設計は数々行われている。