欧州Flexibilityの動向調査

摘要

Flexibilityの概念は，分散型電源としての再生可能エネルギーの大量導入に伴い，系統側と需要家側のエネルギーリソースを相互に効果的に授受し，最適なシステムの運用を目指すものである。今後，日本国内で進展するエネルギ基本計画や電力システム改革の環境下での，エネルギー運用の一つの指標になると考える。しかしながら，各文献でも審議中の課題とされているが，卸市場が大規模で流動的である反面，需給バランスや系統制約は厳守するという2つの原則に基づく前提において，Flexibility運用者が，より効率的に複数の異なる市場にアクセスできるか，またユースケースが，異なる市場との相互作用を明確に定義できるかという課題がある。系統側の大規模電源によらず，需要家側の分散型電源からのFlexibilityを前提としているので，単独モードで動作可能なマイクロダリッドとしても機能する可能性があること、(Flexibility運用者はローカル系統運用機能を提供してバランス責任者となる。)欧州のような隣国と越境した系統に対して，他系統のFlexibility運用者と相互運用を実行しながら，最適なFlexibilityを実現するには大きな障壁がある。欧州全体での統一施策とするには，各国での法規や電源構成，市場，系統運用形態の違いなどを考慮し，統一化，標準化を進める必要があるだろう。