フレームレー卜と運動方向がベクションに及ぼす効果

摘要

1973年にドイツのブラントらの研究グループによって初めて心理実験の結果が報告され（Brandt, Dichgans, &Koenig, 1973)、それを皮切りとして現在に至るまで、40年以上にわたり、ベクションに関する研究成果が数多く報告されている(e.g. review: Palmisano, Allison, Schira, &Barry, 2015)。それらの中で、どのような刺激の特徴がべクションを強く誘導するのかというのは、主要な興味の興味の対象の一つで、今回は、刺激運動の滑らかさ（フレームレート）の影響を調べたFujii et al.(2018, i-Perception)と、刺激の運動方向の影響を調べたFujii & Seno (in revision,　i-Perception)の二つの論文をまとめて、ミュレビューを行なう。Fujii et al. (2018)では、下降する水平正弦波縞刺激と放射状に拡大する円形正弦波縞刺激のオプティックフロー刺激の動画フレームレートを3から60fpsと広域で変化させ、運動の滑らかさがべクション強度にどういう影響をもたらすかを検討した。Fujii & Seno (in review)では、ランダムドットオプティカルフロー刺激を用いて、運動方向を14条件で変化させ、ベクシヨン強度を計測した。ベクション強度の指標として、主観的強度、潜時、持続時間の3つを計測した。