高松塚古墳VRコンテンッの開発

摘要

2016年に高機能かつ低価格のVRへッドセットが家庭用ゲーム向けに発売されて以来，VRは消費者とつてより身近な存在となっている.近年では，VRコンテンツ開発のためのプラットフオームが整えられてきたことにより，エンターティメントにとどまらず，文化財の体験，学習あるいは観光や地域振興に向けたコンテンツ開発が行われている.本研究では，高松塚古墳をコンテンツの対象に取り上げ，展示を通してVRの有効な活用方法を探った.高松塚古墳は，奈良県高巿郡明日香村に7世紀に建造された古墳である.石室内部にはそれぞれの方角に神(四祌)と男子群像や女子群像が極彩色で描かれている.また石室内の天井には中国流の二十八宿全てが順序正しく描かれていたと推定され.る.埋葬されていた人物については諸説ある.1972年に高松塚古墳の発掘調査が，故網干善教名誉教授(当時助教授)の指揮のもと関西大学考古学研究室の学生が参加して行われた.発見直後，考古学史上最大の発見として高松塚古墳は注目を集め，1973年に特別史跡に指定され，翌年には壁画が国宝に指定された.