谷津干潟版水環境健全性指標の開発および地域住民による水環境評価

摘要

谷津干潟は，千葉県習志野市に位置する約40haの人工的自然干潟であり，周囲は護岸で覆われ，周辺には住宅·学校などが立ち並ぶ特殊な状況を呈している(図-1).ラムサール条約登録後20年が経過するが，近年は干潟内にアオサ(Ulva spp.)の繁茂が確認され，現在は干潟全域が覆われてしまっている.周辺住民から悪臭などの苦情が出ているものの，地域住民を対象とした谷津干潟の環境評価はほとhど実施されていない.そこで本研究では，谷津干潟版水環境健全性指標(WESI-YT)を2013年6月1～2日に開催された「谷津干潟の日」の来場者に実施し，地域住民は谷津干潟に対しどのような意識を持っているか，さらに，環境について学hでいる学生による評価との比較から，今後の谷津干潟のあるべき姿について検討することを目的とした. 谷津干潟版水環境健全性指標(WESI-YT)を開発し，谷津干潟の日イベントにて来場者により試行した結果，在住地域により評価傾向に違いが認められた.谷津干潟にアクセスの良い近隣の船橋市·習志野市ではアオサについてそれほど低くない評価，ポートパークをはじめ都市開発が進hでいる千葉市では谷津干潟の人工的な部分を強調する傾向，海に面していない八千代市では反対に自然を強調する傾向が認められた.