トルシア形高力ボルトで一体化した鋼木複合断面部材の開発その6 複合断面梁の構造性能評価

摘要

本報ではトルシア形高力ボルトにより一体化した鋼木複合断面単純梁の性能を、実大4点曲げ実験及び数値モデルによる解析によって検証する。複合断面は、ウェブ部分に鋼板を、鋼板を挟む形でフランジ部分に木材を使用したH形断面とし、木材に座掘穴を設けトルシア形高力ボルトを用いて一体化する。鋼板は材長に渡り1枚とし、木材は短いものを組み合わせることを考え、一体化接合部を介して鋼板から木材へ軸力を伝達し、鋼板が負担する曲げモーメントを軽減すること及び木材が鋼板の座屈を拘束することを意図した構成となっている（図１）。このため非常に薄い鋼板を用いることが可能であり、また接合に必要なものはトルシア形高力ボルトと座金のみであるので、優れた経済性と施工性を有している。さらに梁の上面は釘や金物によって、根太や合板の固定が可能であるため従来の木質構造との相性が良く、汎用性に富hでいることといった利点も挙げられる。