茨城県土浦市虫掛における農村集落の空間構成

摘要

多くの地方都市で伝統的、歴史的な建築や街並みを含む景観の保全対策が進む一方で、こと農村地域、農村集落に関してはそのような制度利用が成されにくいという現状がある。今後は都市周辺部の農村に注目する必要があると考え、本稿では茨城県土浦市に存在する虫掛という集落に注目する。地域を理解するために現存する慶応年間の絵図（1）（以下絵図）と明治初頭の村明細帳（2）（以下明細帳）を用いて近世の空間構成を把握すると共に、現地調査によって現代にかけての変遷をも把握することを目的とする。