第12回オリンピック東京大会駒沢会場の計画案について

摘要

昭和11年7月31日IOCベルリン総会において東京都は第12回オリンピックの東京での招致に成功し、昭和13年7月16日東京大会の返上を決定した。この間、実現に向け施設整備について検討が行われ、最終的に主競技場を駒沢に計画する案が作成されている。この第12回オリンピック大会東京大会の主会場については、月島案、神宮外苑案、駒沢案と敷地問題について時間を要したことはよく知られているが、建築計画として駒沢案はいままで検討されてこなかった。駒沢案の作成にあたっては東京市臨時建築部が設計を行ったことが知られている。駒沢案は第11回オリンピックベルリン大会の主会場であるライヒスシュボルトフィルトを参考に計画されたと考えられるが、具体的にどの部分をどのように取り入れたか等十分な検討がなされているとはいえない。そこで本稿では第11回オリンピックベルリン大会を視察した岸田日出刀の発表した文書を参考に、第12回オリンピック東京大会駒沢案とライヒスシュボルトフィルトについて建築計画上の検討を行うものである。