丹下健三における「伝統」の解釈と建築表現に関する研究

摘要

戦後の日本の多くの建築家が自国の伝統について論議し、具体的な設計行為を通じて、自身の作品のなかに表現しようとしていた。 1950年代の「伝統論争」という論議が巻き起こり、とくに丹下健三（以下、丹下）は伝統と建築創造について積極的な発言を行った。このことからも、丹下は「伝統」に関する論議を通して、自身の建築と伝統に関する問題意識を鮮明化し、近代建築と伝統的な表現を融合することで、作品を創出してきたと考えられる。