室内発生水分を用いた湿度環境調整の研究洗濯干し発生水分量と発生位置による湿度調整法の検討

摘要

高気密･高断熱住宅でのｴｱｺﾝや床暖房など水蒸気の発生を伴わない顕熱型暖房器具の使用で生じる過乾燥化は、ｲﾝﾌﾙｴﾝｻﾞやｱﾚﾙｷﾞｰ疾患などの健康問題と関係が深く、室内の湿度を適切に保つことは健康維持を考える上で重要である。室内湿度調整には加湿器の利用が有効であるが、住宅でのエネルギー消費を助長するものとなる。本研究は生活に伴い室内で発生した水分を室内湿度調整に利用する方法の提案を目的としている。既報1)では実測結果2)を基に定義した洗濯物発生水分曲線を用いた数値ｼﾐｭﾚｰｼｮﾝによりﾘﾋﾞﾝｸﾞを対象とし洗濯干しを利用することで、昼条件で2時間の間相対湿度40％以上を保つことができるという結果を示した。しかし、暖房開始から20分後に相対湿度が70％を上回り高湿度状態となる。また暖房室から非暖房室への流入水分の影響についての評価で結露は観察されなかったが、相対湿度が70％以上の高湿度状態となる。本報では既報で予測された暖房室･非暖房室の高湿度状態を改善することを目的に、洗濯物の発生水分量を制御した調整を検討し暖房室の最適湿度調整法の検討を行う。さらに洗濯物発生水分位置を変えた場合の暖房室湿度調整法の検討と非暖房室への影響を同時に評価した。