稠密面配向CoPt合金スパッタ薄膜の原子積層構造および一軸結晶磁気異方性

摘要

次世代のエネルギーアシスト磁気記録媒体では，室温での高い熱擾乱耐性が求められ，10~7erg/cm~3を越える高い一軸結晶磁気異方性（K_u）を備えた材料の開発が必須である.我々は，六方晶（hcp)Co-Pt系合金を次世代媒体に適用することが，現行の成膜プロセスや結晶配向制御用下地材料についての知見を引き継げるため有益であると考え，本合金の稠密面配向薄膜の材料探索を続けている.Co-Pt合金の結晶構造と磁性に関する研究の歴史は古いが，スパッタ法により作製される薄膜では，新たな規則相や積層欠陥(SFs)等，平衡状態図に記載されない準安定構造が形成され，またそれらに対応するK_uは10~6?3×10~7erg/cm~3程度の様々な値が報告されており，未だ構造とK_uの系統的な理解に至っていない.一般にCo基合金のK_uはスピン-軌道相互作用によってもたらされることが知られており，六方晶の格子定数比(c/a)やSFs,異種原子の配列周期性により大きく影響を受けると考えられるため，スパッタ薄膜についてもこれらを定量的に評価する必要がある.