非住宅建築物を対象とした先導的省エネルギー技術の評価方法に関する研究(その10)ダブルスキンの建物近傍の外部風と日射の景響の検討

摘要

夏期における検証対象の多層吹抜DSと単層DSそれぞれの熱能と外部風の影響について把握した。今回の単層DSでは外部風の侵入があるが、空気は下から上に流れており逆流の発生がないことを把握した。下部通気口を狭めることで除去熱量が减少し、中空層内温度が上昇することを把握した。日射熱取得率の省エネ基準の評価値と実測値の比較を行った結果、実測値の方が大幅に高い日射遮蔽性能を持つことを示した。多層吹抜DSでは、今回のような規模のDSでは、周辺の日射遮蔽物や日射の入射の仕方の影響により上下左右の温度分布に大きくムラが生じることを確認した。また、逆流の発生もうかがえた。CFDによる実測対象建物周辺の風解析では今回の多層吹抜DSの上下通気口にかかる風圧が建物形状·市街地形状の影響を大きく受け、風向によらず、晴天日の温度差により発生する差圧よりも風圧により発生する差圧の方が小さくなり、日射受照時には逆流が発生しないことを確認した。しかし、隣棟による外部風速低下の影響が少ない地域では逆流が起こりうるため、性能評価の妥当性向上のために外部風の考慮が必要である。