舟運都市ヴェネツィアの近代化に関する研究:19 世紀から20 世紀初頭を中心に

摘要

都市は一般に、近代に舟運から鉄道や自動車といった陸の交通へ変化してきた。その過程で多くの都市は水際の大規模開発や河川の埋立てなどによって、水辺が生活から切り離されている。しかし、水の都市として特異な環境であるヴェネツィアは、今も船が往来する都市であり、水際も活発に使用している様子が見られる。これは、ヴェネツィアでは上述のような近代の変化が起きなかった事の帰結なのであろうか。日本では、現在見られるような水の都は共和国時代から変わっていないという認識が高いが、実は共和国崩壊以後の歴史はあまり知られていない。