共同建替住宅におけるコミュニティの継続と変容に関する研究:神戸市における共同建替事例の調査分析を通して

摘要

調査分析により住民間コミュニティは現在でもその姿を変えながら存続していることが確認された．しかし現在では居住者によるつながりは薄れる傾向にあり居住者間コミュニティ形成の観点からは共同建替住宅であるという特殊性は薄れている．特に世代によりコミュニティ形成状況に偏りがある現象はすべての事例でみられたため今後新たな居住者の入居が想定される中，世代を超えたコミュニティ形成の方法を模索する必要がある．また地域コミュニティにおける住宅内外のネットワーク形成状況は個人の資質に依存する傾向にある．地域住民とのかかわりを形成する点では共同建替住宅の共用空間が重要な役割を果たしていることには変わりがない．共用空間の活用方法が地域コミュニティとの関係に大きく左右されることから，共用空間の柔軟な活用を通して今後も地域とかかわっていくことが期待される．