鋼構造制振建物における速度依存型ダンパーの効果的な配置に関する研究その1 鉛直方向の減衰分布形による影響ならびに実効変形に着目した応答低減効果の評価

摘要

近年，日本における高層鉄骨造建物では，制振構造が多く用いられている．制振構造の設計初期段階においては設計対象とする地震動に対して応答を目標値以下に収めるために必要なダンパー総量を概略把握し，次いで効果的な配置を検討することになる1）．これらの手続きは，現状では個々の建物の設計において時刻歴応答解析による試行錯誤的な検討により決定されることが多い．一方，海溝型巨大地震や，内陸直下型地震等の発生の可能性が指摘されており，これまでの設計想定を超える長周期長時間地震動に対しては減衰付加による応答低減が有効であると考えられるが，このとき従来以上にダンパーを効率よく配置することが求められる．