建築の外部空間構成における間合いの研究( その１０): 社寺建築における間合いの評価と立面構成の関係についての分析

摘要

建築の外部空間構成における間合いを研究するにあたって、重要な実験手法となるS D 法を用いた心理的評価実験とその結果を分析するための物理量の算定根拠等について、360°パノラマ写真を用いた実験を対象として分析を行った。立面図と写真＝実験における実際の視野との物理量を定量化し比較することで、間合いを構成ずる建築のヴォリュームや屋根や軒裏など、エレメントの構成やその比率が心理量に与える影響の度合いを明らかにすることが出来た。特に間合いを評価するうえで重要な因子軸である「繊細性」や「一体性」においては立面図と写真とで同様の相関を示すことが確認できた他、写真上大きく見えがかりがことなる屋根のヴォリュームの違いなどについても視覚上の補正がなされ、実際上のヴォリュームを把握したうえで評価がなされているであろうことが判った。