子ども施設の避難所指定の実態と避難所活用に纏わる課題に関する研究: 東北地方太平洋沖地震および熊本地震の被災自治体を対象として

摘要

近年、日本では連続して大規模災害が発生、国土交通省はハザードマップ等を作成し、災害被害が予測される場合、災害被害想定地域に住む住民に対し、速やかな避難を促している。他方で、1995 年の阪神淡路大震災以降、関連死の主な原因となった避難所生活について多くの問題が指摘されている。しかし、2016 年の熊本地震においても災害関連死が直接死を70 名以上も上回るなど、未だ解決には至っていない。福祉避難所が開設される場合もあるが、課題も多く、利用者は限られる。他方で、一般的な避難所におけるハード面の問題や、他者との関係における配慮の欠如は、高齢者や障害者、乳幼児などの要配慮者にとって深刻な問題であり、生活再建段階にまで影響がおよぶ恐れもある。