宿泊体験型の復興まちづくり訓練の課題と展望： 「復興まちづくりキャンプ2019」を対象として

摘要

阪神淡路大震災以降、被災地復興の教訓から「事前復興」という考え方が提案された。「事前復興」とは災害前に復興の準備をすることで、復興とは経済的に立て直すだけでなく、生活の質の回復することである。復興において重要なこととしてコミュニティ形成や自助・共助・公助の連携が挙げられる。市古は、スムーズな復興に大切なのが、「事前から具体の多重防災まちづくりを進める」という「事前復興まちづくり」であるとしている。その中で事前復興まちづくりの取り組みとして1999 年から2019 年までに東京で実施された復興まちづくり訓練は49 件ありそのうちの47 件がワークショップ( 以下：W S ) 型、 残りの2 件が宿泊体験型の復興訓練を実施している。 訓練における効果として講義やW S より模擬体験の方が防災への意識向上に有効であると言われており、 1999 年に実施された「サバイバルキャンプ」は宿泊体験型でありながら、復興をテーマにした珍しい訓練であった。本研究では、このキャンプの復刻版として今年実施された「復興まちづくりキャンプ( 以下：復興CP)」に注目し、今後の持続的な実施に向けた課題と展望を導き出すことを目的とする。