豊川市における立地適正化計画の導入効果に関する研究

摘要

本研究では、立適計画や居住誘導施策の前後における建築の動向を明らかにし、届出勧告制度や居住誘導施策の誘導効果を調査した。住居系建築の建築動向を見ると、誘導区域における建築の割合はほとhど変化が見られず、立適計画による誘導効果は見られなかった。その要因として、市街化区域のほとhどを居住誘導区域が占めているため居住誘導区域外の市街化区域内での建築がほとhどない為であると言える。これは届出数にも表れており、年間900～1100 件の住居系建築があるにもかかわらず、届出は年間4～5 件のみであった。ただし、届出が出された建築の中にはハザードマップによる浸水深2ｍのエリアに開発行為があった事例もあるなど、課題が見られた。まちなか居住補助金の誘導効果の分析としては、旧豊川市での申請が最も多いものの、旧小坂井町や旧御津町などでは多くの申請が見られた。これは周辺の都市にアクセスしやすい鉄道網が整備されていることが要因と考えられ、特急列車が停まる駅がある拠点に多くの移住者がいることから、鉄道駅のマグネット効果が高い豊川市と他都市から都市機能誘導区域への移住を誘導するまちなか居住補助金は相性が良いと考えられる。また、30 件の建築が豊川市の中心部に誘導できていることを考えるとまちなか居住補助金は一定の成功を収めていると言える。今後の課題としては、今回の研究では立適計画運用から2年と年数の少ない豊川市の初期の立適計画運用効果を見たが、短期的にではなくもっと長期的な分析を行うことで、より正確な立適計画の誘導効果を明らかにできると考えられる。