耐塩性紅色非硫黄単離細菌による長波長LED光照射下での光合成水素生成

摘要

水素は，燃料電池の原料となり燃燒時に二酸化炭素を発生しないこと等の利点から，次世代のエネルギー源のーつとして期待されている。本研究では，有機酸を炭素源として生育でき，発光ダイオード(LED:light-emitting diode)光照射下で水素を生成可能な耐塩性光合成水素生成細菌を単離した。単離細菌は，細菌学的諸性質と16S rRNA配列から，Rhodobacter shaeroidesに近縁な紅色非硫黄細菌Rhodobacter sp. KUPB1と同定された。KUPB1は，0～3 %のNaCl濃度条件下で有機酸を分解し水素を生成したが，3%のNaCl澳度下では水素生成量が大きく低下した。また，極大波長が850nmの長波長LED光照射下においても，有機酸を完全分解して良好に生育し，タングステン光照射と同等以上の水素を生成することが明らかとなった。