御岳山山上集落における御師宿坊建築の変容について

摘要

秩父多摩甲斐国立公園内に位置する御岳山は山岳信仰の対象として古くは修験者たちが修行の場とし、近世になると一般民衆も信仰の対象とするようになった。人々は住む地域ごとに講という信者組織を作り、その代表者を選出して山へと詣でた。これら講の参詣人に修験者達が宿を提供したのが集落の始まりであり、現在でも御師と呼ばれる御岳神社の神事にあたる人々が各宿坊の主人として神社へと詣でる人々に宿泊場所を提供している。このように人々の信仰によって成立した集落は今もなぉ特徴ある風景をとどめている。しかし景観上重要な要素である宿坊が近年、增改築や建て替えによって変容し集落全体の様相が変化してきている。