木造寺院本堂の耐震性能に関する研究: その3　常時微動測定について

摘要

本研究により以下のことが確認された。1）1次固有振動数f,は、福厳寺及び徳正寺の両方向共に大きな差異は見られなかった。他の寺院を含む実験式と比較すると、福厳寺のf_1は、やや高い値で、剛性があり耐震性があることになる。徳正寺の八は低い値であった。2）滅衰定数を他の寺院と比較すると、福厳寺及び徳正寺の両方向共に小さい値であった。しかし、データ長さによる補正を行うと、今回の値と近くなる。3）偏心率を計算した結果、福厳寺のX方向の偏心率は0.33、Y方向の偏心率は1.41、徳正寺のX方向の偏心率は0.21、Y方向の偏心率は1.26で、徳正寺のX方向以外は基準値を超えている。これらの原因は、本堂西面と南面に壁面が無い為で、耐震性の検討が必要といえる。