生産条件の変化を踏まえたディテールのあり方に関するケーススタディ一: 開口部周りにおける、各部位構法・部品の「すり合わせ」の現状　その2

摘要

前稿においては、「すり合わせ」の定義および目的について整理したものを報告した。本稿ではー般既製品を用いながら建築家がオリジナルな開口部を実現しょうと試みているものを例として取り上げて、今日の生産条件の変化を踏まえたディテールのあり方を検討する材料とする。一般既製品を用いながらオリジナルな開口部を実現しようという試みでは、制約条件の多い一般既製品を用いることによって、完全オーダ一メードの場合とは質が異なる「すり合わせ」=「設計・施工プロセスにおける様々な工夫・調整」が生じていると考えられる。また、そこで使用される既製品に関しては一般に、メーカーによつて標準詳細図が作成されている。この標準納まりは、製品のパフォーマンスを最大限に引き出すために、安定した技術をベースに作成されていると考えられる。しかし、現在、建物に対する高い要求にこたえるには、安定した技術だけでは対応が困難になってきており，現場の技術、技能の低下についても指摘されている。