避難所における生活ルールの提案: 杉並区震災救援所の調査からみる避難所の運営と課題

摘要

阪神·淡路大震災では，家屋の倒壊やライフラインの停止により，多くの被災者が長期にわたる避難生活を余儀なくされた。避難所は一時的ではあるが，人々が安心して暮らせる住まいとしての機能をもつ必要がある。しかし，厳しい避難所生活の中ではプライバシーや生活モラルといった避難者間の様々な問題が浮上した。それらの問題に対応し，秩序ある集団生活を営むためには，避難所全体を管理·運営するための体制作りが不可欠である。そして屢災時の避難所では，避難者自身による運営が期待されている。そこで，運営主体である避難者の視点から避難所の課題を整理し，避難所運営の現状を調査·分析した上で，避難所の運営がより円滑に，避難所での生活がより快適になることを目的とした，生活ルールに対する提案を行う。調査対象として杉並区を取り上げる。杉並区では避難所を震災救援所と呼hでおり，避難所に関する対策作りが進められている都市型地域の1つと位置づけられる。