ジャワ島中部地震により被災した世界遺産プランバナン遺跡群: その1 破損状況と修復に向けての課題

摘要

インドネシア共和国ジャワ島中部において平成18年5月27日に発生した地震は、多数の死傷者、倒壊家屋等をともなう大惨事となったが、震源地が古都ジョグジャカルタの南南西約25km付近と近かったため、文化遺産にも甚大な被害をもたらした。震源地近郊には、世界遺産であるプランバナン遺跡群、ボロブドゥール遺跡をはじめとする耝積造建造物が多数遺存し、またジョグジャカルタ市内には王宮をはじめジャワ地方独特の建築様式になる伝統的木造建造物も数多く残る。なかでもブランバナン遺跡群における被害は深刻で、地震発生直後からインドネシア国内ばかりでなく世界各国の注目を集めた。インドネシア政府文化観光省歴史考古局より協力要請を受けた日本政府は、プランバナン遺跡群等文化遺産の被害状況把握と対応策の検討のため、平成18年度において2度の現地調査を実施した。