アントニオ·サンテリアのドローイング作品について (1) 作品の概要

摘要

アントニオ·サンテリア(1888年-1916年)は1914年に「未来派建築宣言」を発表したイタリア未来派の代表的な建築家であり、新しい都市(メトロポリス)の姿を逸早く予見して、交通や通信、エネルギーといった新しいテクノロジーが切り開く都市空間を多数のドローイングに描き、未来派建築の空間イメージを具体的に提示した。それらのドローイングは近代建築の到来を告げる作品群として近代建築史の中に位置づけられている。しかしながら、これまでサンテリアの作品としてしばしば言及されるのは，いわゆる「難市(Citta'Nuova)」(1913-14年)のドロ一イング群であり，特に彼の初期のドロ一イングを含めた作品の全貌については必ずしも十分に検討されてきたとは言い難い。したがって、そうした初期のドローイングをも含めたサンテリアの全作品の検討は、特に近代建築の黎明期の再検証にとって意義あるものと考えられる。