幕末から大正期における西洋館内部の色彩傾向

摘要

西洋館の色彩は白やパステルカラーの壁，木張やカーペット敷の床，ペンキやオイルスティンの塗装等，それまでの日本の住宅にはなかった要素がたくさh見られ，色彩の幅も広がっていると言える。現代の一般的な室内色彩と比較した結果.壁面の彩度がわずかに鮮やかな傾向にあることが分かった。床は現代のものより暗く安定感のある色彩が多く，天井に関しては，'明度に多少の差があるものの，現代のものとほぼ同様の白色系であった。全体的に類似した色彩傾向である。今回の調査は大正期までであるが，西洋館内部の色彩傾向は現代の室内色彩に近いものを示しており，歴史的に見ても現代に大きく影響を与えていると考えられる。