ビデオゾンデを用いた鉛直風速プロファイルの算出と雲物理的解析

摘要

鉛直風速の鉛直プロファイルは，降水過程に影響を与えている一方で降水粒子がもたらす潜熱や摩擦力から影響を受けている．鉛直風速を観測する手法にはウィンドプロファイラやドップラーライダーなどがあるが，本研究で独自に用いているビデオゾンデは降水粒子を撮像して粒子判別および粒径分布を算出することで鉛直風速と降水粒子の観測を同時に行うことができる．本研究ではビデオゾンデとそれに付随するラジオゾンデ観測データを用いて，上空でのバルーンへの着氷やバルーンの半径の高度変化等を考慮して，その鉛直方向の動きからゾンデが通過する場所における大気の鉛直風速の算出方法を提案すると共に，観測データを用いて実際に鉛直風速プロファイルを算出した．同時に降水粒子の混合比や大気の安定度を調べ，算出した鉛直プロファイルの妥当性を検証した．その結果，降水粒子の混合比や大気の安定度から鉛直風速プロファイルの定性的な説明をすることができた．