浦賀道見取絵図にみる鎌食の社寺表現と その特徴: 五街道分間延絵図を中心とした都市表現に関する研究

摘要

「五街道分間延絵図」（以下「延絵図」と略記）は、寛政12年（1800)に江戸幕府が街道の管理のために制作を命じ、文化3年（1806)に完成した絵図である。前稿では「東海道分間延絵図」の城郭表現について検討を行い、城郭と街道の接点である外郭を正確に描くこと、内郭は内部を省略し、最も象徴的な部分である主要郭のみ正確に描写して他都市との差別化を図ったことを指摘した。ただし、城下町の場合、都市の象徵となる城郭は1都市に1つしか存在せず、描き分けは容易といえる。