2004年新潟県中越地震における余震観測と被害調査による入力地震動の推定

摘要

小千谷小学校あるいは小千谷東中学校のRC学校校舎の被害は，K-NET小千谷の本震地震動を入力した応答に対応するものではなく，一般に被害から推定される実際の応答は小さいレベルであったと判断される。K-NETと同様の観測条件である近傍自由地盤，校舍1階，上階で実効入力を特定することを目的にした余震観測を行い，被害調査および解析結果から以下を明らかにした。(1)自由地盤での地震動はお概ねK-NET地震動に対応する，(2)これらに比べて建物1階での地震動は明らかに小さい(1/2～1/3程度以下)，(3)1階の地震動と4階の地震動は建物の応答特性に対応する，(4)地震動の被害はK-NET本震よりかなり小さい地震動に対応する，(5)JMA小千谷よりやや小さい地震動に対応する。また，(6)以上のように大地震では構造物への入力が自由地盤の観測とはかなり異なることが一般的であるならばさまざまな条件を網羅した構造物での地震観測を推進する必要がある。