美術館?博物館の観覧動線における設計者の計画意図と管理者の運用実態との整合性

摘要

表4 に不整合の発生要因を構成段階(配置図、プラン、 部分)別に整理して示す。結論として以下を提出する。 1) 設計者の計画意図と管理者の運用実態が一致せず、 立入禁止などの標識等により観覧動線が変更されている 事例を観察し、その発生要因をⅰ)来館者誘導不充分、 ⅱ)空間区分不充分、ⅲ)危険警戒不充分、に類型化した。 2) 不整合のうちのいくつかは、設計者による建築的造 形の不備により、管理者の意図とは関係なく必然的に発 生していると考えられた。 3) 誘導標識を提出することにより、多様な観覧経路を 意図的に使い分けるような設計方針の事例もある。この 場合「不整合」とは言えない。 4) 類型ごとの不整合は、表5 に示す箇所に多く発生し ていた。