標準仕様における基準寸法の考え方 愛媛県における農漁業関連施 設の近代化と公的機関の標準仕様との関係２

摘要

標準仕様で建てられるものは田舎間で建てられると仮 定していたが、現在までのところ畳を使用する場合には 当地の畳を基準とした内法寸法に基づく柱割を採用し、 畳がない場合には田舎間で建てていることがわかる。古 畳の再用も行われていたのであろうから、地元で容易に 入手できる畳を用いた計画とすることは素直な流れであ る。京間は、畳を基準とした部屋で構成する場合と、柱 割に置換して方眼として設計する場合とがあるが、今後 の展開としては、昭和初期の愛媛県における基準寸法の 使用方法について具体的に把握する必要がありそうであ る。一方で、大正12 年に建てられ、昭和8 年に農林省模 範工場となって一部改造された福岡県うきは市の旧楠森 製茶場は955×1910mm の数値で建てられながらも、昭和 8 年以降の増築と推定される貯蔵庫は田舎間である。 こうして見ると計画上の基準寸法の用い方が特筆すべ き要素となるか否かは別として、標準仕様を元に建てら れた類似する建物同士でも、基準寸法を見ることで一定 の地域性は謳えそうである。なお、本稿で扱った建築と 標準仕様との関係性については、稿を改める予定である。