自治体による空き家管理対策に関する研究:空き家管理条例に着目して

摘要

人口?世帯数の推移や産業構造の変化等に伴い、全国的に空き家が増加している。空き家は人が住まなくなることにより犯罪の発生を誘発したり、景観の悪化や地域イメージの低下など、周辺住民に対する外部不経済をもたらす（以降、「空き家問題」）ことが問題視されている。今後空き家の増加に伴いこのような空き家問題も増加していくことが予測される。これに対して近年自治体が空き家の所有者に適正な管理を求めたり、撤去を命令したりすることのできる条例（以降、「空き家管理条例」）の制定が増えている。本研究では、空き家管理条例に着目し、その運用実態を把握し課題を明らかにすることで、今後の自治体による空き家管理対策の可能性を示すことを目的とする。既往研究では、空き家の所有者意識構造(1)や活用事例の分析を行ったもの(2)など様々な観点から研究が行われているが、条例という空き家管理手法に着目した研究はない。