グルジア共和国のネクリシ修道院におけるホール型教会堂の架構形式について:キリスト教?イスラーム文化混淆地域における歴史建築の研究　13

摘要

本稿は2010年9月に科研海外調査の助成により実施した、グルジア共和国における第一次キリスト教建築遺構の調査の内、カヘティア地域に残る4世紀創立と言われるネクレシ修道院のドーム付設ホール型の小教会について、ドーム部の架構形式について報告するものである（図1）。イベリアには4世紀にキリスト教が伝播したと言われ、アルメニア建築に較べて既往研究が少ないことから、その実態は必ずしも明らかではないが、遺構数総数が200 ? 300に上るとも言われ、東アナトリア地域におけるキリスト教建築の一領域を形成していることは間違いない。