民間賃貸住宅の管理委託契約書と業務報告書からみた管理委託の実態:民間賃貸住宅の管理委託の実態に関する研究 その 2

摘要

現状わが国の総住宅数の35.8％は賃貸住宅でそのうち民営借家は75.2％である。民間が経営する住宅（以下、「民間賃貸住宅」という。）は都市における主要な居住形態で、都市を構成する要素としての役割も大きく、その適切な管理は安定居住、住宅ストックの維持向上の面で重要になる。民間賃貸住宅の経営の競争が激化するなかで、専門的な管理の重要性が高まっており、管理会社に管理を委託する民間賃貸住宅所有者が増加している。しかしながら管理会社の業務が「賃借人の募集業務」と独立しておらず、管理業が確立されていないこと、委託契約が書面で締結されていない事例が多い等の課題がある。こうした実態から、賃貸住宅管理が業として確立するには、契約を書面で締結し、契約当事者が相互に委託業務内容およびその履行状態と効果の情報を共有することが重要であると考えられる。